認知行動療法の自動思考の検証

自動思考とは、気持ちが大きく動揺したりつらくなったりした時に、頭にパッと浮かんでくる思考やイメージのことです。

例えば、「私はダメだ」「みんなに嫌われている」「何もうまくいかない」などのようなネガティブな自動思考があります。

自動思考は、人間の思考の根底にある信念や価値観や人生観などのことをスキーマと呼びますが、このスキーマに基づいて生じます。

スキーマは、遺伝的素因や、過去の経験などの蓄積によって形成されているもので、自分にとって自明の「生き方のルール」のようなものです。

自動思考は、自分の感情や行動に大きな影響を与えます。

例えば、「私はダメだ」という自動思考が生じると、自分に自信がなくなり、抑うつ的な気分になり、何もやる気が起きなくなるかもしれません。

 

認知行動療法では、自動思考の検証という方法を使って、自動思考が現実に合っているかどうかをチェックし、思考のバランスをとっていきます。

自動思考の検証とは、以下のようなステップで行われます。

 

・自動思考を特定する: 気持ちが動揺したりつらくなったりした時に、頭に浮かんだ思考やイメージを書き出す
・自動思考の根拠を探る: 自動思考が正しいと思う理由や証拠を書き出す
・自動思考の反証を探る: 自動思考が間違っていると思う理由や証拠を書き出す
・自動思考を修正する: 根拠と反証を比較して、より現実に近い思考に書き換える
・感情や行動の変化を確認する: 思考を修正した後に、自分の気持ちや行動にどのような変化があったかを書き出す


例えば、「私はダメだ」という自動思考が生じたとします。 この自動思考の検証は、以下のように行うことができます。

 

・自動思考を特定する: 「私はダメだ」
・自動思考の根拠を探る: 「仕事でミスをした」「上司に叱られた」「同僚に馬鹿にされた」
・自動思考の反証を探る: 「仕事でミスをしたのは初めてではない」「上司は他の人にも叱っている」「同僚は私のことを気にかけてくれている」
・自動思考を修正する: 「私はダメだというのは過度な自己批判だ。私は仕事でミスをしたが、それは誰にでもあることだ。上司や同僚は私のことを評価してくれている」
・感情や行動の変化を確認する: 「自分を責める気持ちが軽くなった」「仕事に対するやる気が出てきた」「上司や同僚とコミュニケーションをとることができた」

 

以上が、認知行動療法の自動思考の検証についての説明です。